ゴマの成分の約50%は、脂質(油分)です。
ゴマの脂質には、オレイン酸(オメガ9脂肪酸)とリノール酸(オメガ6脂肪酸)という不飽和脂肪酸が含まれています。
ゴマ大さじ1杯あたり(約9g)に、オレイン酸は約1710mg含まれています。
不飽和脂肪酸であるオレイン酸は、健康な体に重要な成分であるため、十分に摂取する必要があります。
オレイン酸の一日の摂取量と上限については、特に規定はありませんが、オレイン酸が不足すると、コレステロール値の上昇や免疫力の低下に繋がります。
反対に、オレイン酸を過剰に摂取すると、エネルギーの過剰によって肥満になることがあります。
オレイン酸は、不飽和脂肪酸の中では最も酸化が起こりにくいという点が、大きな特徴です。
代表的なものにはオリーブオイルやヒマワリ油などがあります。
不飽和脂肪酸には、一価と多価といわれる区別があり、一価の不飽和脂肪酸は酸化を起こしにくいですが、多価の不飽和脂肪酸は、酸化を起こしやすいという特徴があります。
オレイン酸は一価にあたります。
一価や多価とは、二重結合の数を示しており、オレイン酸は二重結合が一つ(一価)であるため、酸化が起こりにくいです。
しかし、飽和脂肪酸と比べると、不飽和脂肪酸は酸化を起こしやすいです。
また、オレイン酸は一価の不飽和脂肪酸であるため、人の体内で飽和脂肪酸から合成することができます。
多価の不飽和脂肪酸は、体内で合成することはできません。
3-1.善玉コレステロールは下げずに悪玉コレステロールのみ下げる
ゴマの脂質に含まれているオレイン酸には、善玉(HDL)コレステロールは減らさずに、悪玉(LDL)コレステロールを減らす働きがあります。
オレイン酸が、血液中の悪玉コレステロールを減らすことで、高血圧や心臓病、動脈硬化を予防することができます。
3-2.過酸化脂質の発生を少なくする
オレイン酸は酸化されにくいため、体内に取り入れても、ガンや老化の原因となる活性酸素と結びつき、過酸化脂質になるのを避けることができます。
過酸化脂質とは、中性脂肪やコレステロールといった脂質が、活性酸素によって酸化したものの総称です。
過酸化脂質は、DNAに損傷を与えてガンを招く恐れがあります。
オレイン酸を摂取することで、ガンや心筋梗塞、高血圧や脳梗塞を予防することができます。
3-3.胃潰瘍や便秘の予防にも効果がある
オレイン酸は飽和脂肪酸と比べると、胃での滞在時間が短いです。
このため、胸焼けや胃もたれ等の症状を減らし、胃潰瘍や十二指腸潰瘍の予防にも期待ができます。
また、オレイン酸には、便を柔らかくして排便を促す働きがあるため、便秘の解消や予防にも役立ちます。
ゴマの成分は、脂質が約50%も占めています。
これだけ脂質の割合が多く占めていると、カロリーが高くて体に良くないと考える方も多いかもしれません。
しかし、ゴマの脂質に含まれているオレイン酸は、悪玉コレステロールを減らす働きや、酸化しにくいという性質があるため、健康を維持するためには欠かせない脂質です。
また、ゴマにはオレイン酸の他に、セサミンや必須アミノ酸といった様々な栄養素が、バランス良く含まれています。
小粒でありながらも栄養価の高いゴマを食べて、健康のために必要な栄養素を補いましょう。