ゴマは小粒でありながら、脂質やアミノ酸など様々な栄養素が豊富に含まれています。
中でも、健康と美容に大きな効果をもたらす成分が、セサミンです。
セサミンは、抗酸化物質であるゴマリグナンの一種で、ゴマ一粒あたりにわずか1%程度しか含まれていません。
しかし、このセサミンは認知症の予防にも効果があり、大変希少価値が高い成分なのです。
認知症とは、様々な原因によって脳の細胞が死んでしまったり、機能が低下してしまったりしたことで障害が起こり、生活をするうえで支障が出てしまう状態のことをいいます。
認知症は加齢による物忘れとは違い、脳の神経細胞の急激な破壊によって起こり、物事を全て忘れてしまいますが物忘れの自覚はありません。
この認知症には、様々な種類があります。
主な種類は、アルツハイマー型認知症や脳血管型認知症などがあります。
このうちアルツハイマー型認知症が原因となるケースが最も多く、次に脳血管型認知症によるものとされています。
認知症の原因や症状は、種類によってそれぞれ異なります。
1-1.アルツハイマー型認知症が起こるメカニズム
アルツハイマー型認知症は女性に多く、特徴的な症状として物忘れや徘徊、もの盗られ妄想などが挙げられます。
アルツハイマー型認知症は、老人斑(主成分がアミロイドβと呼ばれるアミノ酸40個からなるタンパク質)が、海馬を中心に脳の広範囲に出現し、このアミロイドβが毒(活性酸素)を出して脳の神経細胞を死滅させることによって起こります。
しかし、アミロイドβが蓄積する原因については、はっきり分かっていません。
また、脳の脂質が活性酸素によって異常に酸化してしまうと、リポフスチンという老化色素が脳の中に多く出現し、アルツハイマー特有の線維(アミノロイド線維)が増えることもアルツハイマー型認知症の原因の一つです。
脳の材料となっている脂質に、ドコサヘキサエン酸という不飽和脂肪酸が使われていますが、このドコサヘキサエン酸は酸化されやすいという特徴があります。
このドコサヘキサエン酸は女性に多いため、アルツハイマー型認知症は男性よりも女性が多い傾向があるのです。
1-2.脳血管性型認知症が起こるメカニズム
脳血管性型認知症は男性に多く、同じ事をしても出来る時と出来ない時が繰り返し起きるまだら認知症(認知機能障害)や、手足のしびれ、感情のコントロールが上手くいかないなどの症状が現れます。
この脳血管型認知症は、脳梗塞や脳出血など脳の血管障害によって脳の機能が低下することで起こります。
このような血管障害は、高血圧や高脂血症、糖尿病などの生活習慣病が原因となって起こるため、これらを予防することが脳血管性認知症の予防に繋がるのです。
2-1.アルツハイマー型認知症に対するセサミンの効果とは
前項でもご紹介したように、アルツハイマー型認知症を引き起こす恐れのあるアミロイドβが蓄積する原因については、明確なことはわかっていません。
このため、アルツハイマー型認知症を100%予防できる方法は今のところありません。
しかし、アルツハイマー型認知症の発症には、生活を取り巻く環境の影響が大きく関わっていることが分かっています。
ですので、アルツハイマーになりにくい脳の状態を保つためには、野菜や魚をバランス良く食べることや、有酸素運動を行うことを心掛けると良いでしょう。
また、人とよくお付き合いをしたり、ゲームをしたりするなど、日常的に頭をよく使うと良いです。
セサミンは、アルツハイマー型認知症を必ず予防できる成分ではありませんが、原因に繋がる可能性を持つ一部分に働きかけることができます。
(a)抗酸化作用で脳に悪影響を与える活性酸素を除去する
ゴマに含まれているセサミンには、認知症の原因となる活性酸素を除去する働きがあります。
セサミンを体内に取り入れると、肝臓に血液を運ぶ門脈と呼ばれる静脈で吸収され、肝臓にたどり着いた後に強い抗酸化物質に変化します。
そして、抗酸化物質へと変化したセサミンは、その強い抗酸化力を発揮して体内の活性酸素を十分に除去することができるのです。
セサミンの抗酸化力によって、アミロイドβが出す活性酸素を除去することで脳の神経細胞が死滅してしまうことを防ぐことができます。
また、酸化されやすいという性質を持つドコサヘキサエン酸を活性酸素から守り、リポフスチン(老化色素)の出現を防ぐことで、アルツハイマー型認知症進行過程の一部分に働きかけます。
これは直接的な効果ではありませんが、アルツハイマー型認知症の予防や進行の抑制に、補助的な効果が期待できます。
2-2.脳血管型認知症に対するセサミンの効果
一方で、脳血管型認知症に対して、セサミンは予防のために非常に役に立ちます。
セサミンは、様々な生活習慣病を予防する効果があるからです。
生活習慣病を予防することで、脳梗塞や脳出血などの脳血管障害を予防することに繋がり、結果的に脳血管型認知症の予防に役立ちます。
(a)肝臓の機能を高めて高血圧と高脂血症を予防する
セサミンによって活性酸素を十分に除去することで、肝臓の細胞を守り機能を高めることができます。
そして、肝臓の機能が高まると、肝臓の持つコレステロールの調節機能や脂質の代謝機能が正常に働くようになります。
すると、血液中の悪玉コレステロールを減らし、善玉コレステロールを増やすことができます。
その結果、血液がサラサラになり、血流がよくなって血圧が下がります。
また、脂質を上手くエネルギーに変えることができるため、中性脂肪も減らし血液がサラサラになるのです。
この結果、脳血管型認知症に繋がる高血圧や高脂血症を予防することができます。
(b)抗酸化作用で糖尿病を防ぐ
前項でもご紹介したように、脳血管型認知症は糖尿病が原因となって起こる可能性があります。
セサミンは、この糖尿病の予防にも役立つ成分です。
セサミンの抗酸化作用で活性酸素を除去することで、ブドウ糖をエネルギーに変える働きをするミトコンドリアの酸化を防ぐことができます。
また、活性酸素が除去されると、膵臓の機能が高まります。
これにより、膵臓にあるβ細胞からインスリンが十分に分泌されるようになります。
そして、このインスリンによってブドウ糖を臓器や筋肉にスムーズに運び、エネルギー源として活用することができるのです。
その結果、血糖値が下がって脳血管型認知症に繋がる糖尿病を防ぐことが可能になるのです。
以上のように、セサミンの抗酸化作用によって活性酸素を除去して臓器の機能を高めることで、認知症に繋がる様々な原因を回避することができるのです。
認知症は大きく分けてアルツハイマー型認知症と脳血管型認知症の2種類があります。
アルツハイマー型認知症は原因物質(アミロイドβ)は判明していますが、その根本的な原因ははっきりとわかっていません。
これに対してセサミンはアミロイドβが出す活性酸素を除去することで、認知症予防や進行抑制に、補助的な効果が期待できます。
セサミンだけではアルツハイマー型認知症の予防は難しいので、合わせて生活習慣や食生活の改善が必要です。
脳血管型認知症に対しては、セサミンの生活習慣病予防効果が役立ちます。
セサミンの抗酸化作用が、脂質異常症や高血圧、糖尿病などを予防することで、脳血管障害の予防に繋がり、結果的に脳血管型認知症を予防することに繋がります。